
子供の頃は吹抜けの方が上から下を見下ろせることからもウキウキとした楽しさがありましたが、大人になると吹抜けの構造では監視されているような気持ちとなり、落ち着いた気持ちでの生活が困難となりました。
特に階段を巻き込んだ吹抜けは子供時代にはリビングから呼ばれる親の声に返事をするには楽でしたし、大声で家の中で呼び合う、返事をするということもありました。ただ、成人すると家の中で大声で呼び合うなんていう習慣もなく、吹抜けはごめんという間取りに変わりました。
注文住宅で作るなら年月の経過とともに家族の生活スタイルや住人が変わることも考慮して、吹抜けの必要性を考えるべきだと思います。できれば、注文住宅として必要無くなった吹抜けを後からリフォームできるような高額な費用のかからない設計が理想的です。
階段を巻き込んだ吹抜けの良さは電気、つまり照度がなくても明るいことにつきました。壁に囲まれて暗い階段ではなく、自然の光やとなりの部屋の明かりで階段の足元が照らされているような安全な環境です。ただし、階段も足元に板がないものでは安全上いつ危険があるのかわからないし、できれば足元にきちんと埋まっているタイプが理想です。階段が暗くて照明がないと真っ暗だということもないので、階段だけにおいては吹き抜けは良いと思いますが、どのあたりに階段を置くか、階段の電気はどうするか、も大事です。階段一つ利用するだけなのに、リビングの遠くのスイッチをおしに行かなければならないなんて…不便で住みにくいことこの上ありません。階段を巻き込むと結構面倒で難しいのです。
注文住宅と言っても誰ひとりとして体験的に住んでいないような家の設計で作ると、実験、あるいは冒険になってしまいかねません。パズルのように組みわせていく注文住宅もどこかお手本となるような物件をよく見て検討してからつくるべきです。そうでないと、こんなはずではなかった、あるいはもう二度としない…。と言い出しかねません。体験的にそういう知人も見ていますが、当人にしかわからない不都合なのです。